ひつじと四重奏

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ゆでたまごが剥けない

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半年前に引っ越した。実家を出たことがなかった私にとって、家事を自分でやることは新鮮で楽しく、また自分で生活しているという事実は自信を与えてくれた。

 

一番楽しいのは、料理だ。実家の味を思い出しながら食材を好き勝手に切り、勘で味付けをしている。それが意外にも美味しくなるから楽しいのだ。

何品も作っては嬉々として母親に報告するので、「家でも作ってくれたらよかったのに!」と小言を言われている。

私は文系だったため科学の実験に楽しさを見出したことはないけれど、ハマる人の感覚はもしかしてこれに近いのかもしれない。料理は科学と言うし。

 

そんな料理の中で唯一、どうにも上手くいかず生来の短気が顔を覗かせて、一生やらんと決別しそうな作業がある。

ゆでたまごを剥く行為だ。百円ショップでたまごの殻に穴を開ける器具を買ってみたり、茹で時間を変えてみたり、何度か試行錯誤してみるも今のところ惨敗だ。

 

茹で上がったたまごをシンクに打ち付けて細かなヒビを付け、ぺりぺりと剥いていくのだがどうしても白身が殻にくっついて取れてしまい、剥き終わったゆでたまごは月のようにでこぼこ、中の黄身がうっすら見えているところまである始末。

その後味玉にしたり煮物に入れて煮込んだりする時もうっかり突いて薄くなった白身が破れないようにと、気を使うことこの上ない。


おそらくこの作業と決別できる日は来ないし、どうにかこうにか剥けるようになりたい、そう思うものの、日々の料理の中ではどうにかゆでたまごを避けようとしている私がいるのだ。

 

実家で何も思わず食べていた味玉、おでんのたまご、サラダのたまご、その他たくさんの綺麗なたまご達のなんて貴重なことか。

剥くだけだと思っていた作業に母の主婦業三十年の実力を垣間見るとは思いもよらなかった。

 

感心しながら考える今夜の献立にはやっぱりゆでたまごは登場しない。