ひつじと四重奏

当ブログはアフィリエイトプログラムに参加しています

MENU

三度目のミニオン

f:id:mmry:20221129164623j:image

 
今日は、いつも使っている電車が朝から運転見合わせになっていた。

私はいつも八時に家を出るのだが、見合わせになったのがちょうど八時だったため、情報を知らないままいつもの駅に赴いてしまった。


駅に向かう道を歩きながら、いつもはいないのに、ホームに電車が停まっているのを見た時点でなんか変だなと思っていたら、やっぱり改札の辺りに人がたくさんいた。


見合わせの原因はずいぶん遠いところのようだったが、止まっているのなら仕方ない。

こんなことなら時間がなくて放り出してきたアレやコレを済ませて出られたのに……と思いながら、私は迷っていた。


運転見合わせの場合、拙宅の最寄駅は二沿線あるためもう一方で振替輸送を利用できる。

だが、こういう時振替先に向かおうとすると思いの外早く運転が再開し、移動しない方が早く着く場合がある。

でも、再開されるとは限らず、朝から余計な選択を迫られることになった。


結局、何かしら移動していた方が良いと判断して、振替先にてくてく向かった。


これが夜なら家に帰ることができるのに、と思いながら坂を登っていると、ミニオンのぬいぐるみストラップをリュックにつけた女性に追い抜かれた。

最近、ああいったぬいぐるみを鞄に付けた人をよく見るなぁ、流行りかな。と特に気に留めず歩いていたのだが、数分後またミニオンに追い抜かれた。


え!? 追い抜いた記憶はないのに同一人物に追い抜かれてちょっと怖さを憶える私。

どこか店に入っていたのだろうかと一人自分を納得させようと試みる。


そうしていると、なんとまた追い抜かれたのである。

今度は彼女の手におにぎりが収まっていた。どこかで立ち止まっておにぎりを取り出していたのか?

我が胸中を今度は好奇心が支配した。


次こそは見逃さないようにしよう。

そう心に決めて少し先で揺れているミニオンを視界に入れながら歩いた。

どこかミニオンとの言葉なきやりとりを楽しみにしている私がいる。


しかし、彼女は途中のバス停で立ち止まってしまった。

少し残念に思いながら私は今度こそ彼女を追い越した。

そして電車に揺られ、職場に着いた頃には定刻を三十分過ぎていた。

ミニオンが流行り出してから、特に気に留めることなく今まで生きてきた私だが、突然ミニオンの方から日常に入り込んできた。

面白い経験だった。